ベストセラーコード 「売れる文章」を見きわめる脅威のアルゴリズムを読んだ感想

みなさんこんばんは。

 

今回はベストセラーコード 「売れる文章」を見きわめる脅威のアルゴリズムを読んだ感想です。

(2017年出版)

 

まず、タイトルに興味を持ちました。最近小説を書いており、何か参考になることがあるのではないかと思い読むことにしました。

 

以下、書籍より引用した文章については下記のボックスで囲みます。

 

 

著者は?

著者はジョディ・アーチャーマシュー・ジョッーカーズ氏です。

アーチャー氏は、アップルで文芸分野の研究員として働いた経歴がある、フリージャーナリストです。

ジョッカーズ氏は、計量文献学を専門とするネブラスカ大学の准教授です。

翻訳は、川添節子氏です。

解説は、統計家の西内啓氏が勤めています。

 

印象に残った内容は?

ベストセラーに必要な要素を、コンピューターを使い分析しています。

例えば、ベストセラーの主人公は、needやwant、doという単語の使用頻度が多いです。

しかし、売れない小説の主人公は、drop(諦める)やwait(待つ)といった受動的な言葉の使用頻度が多いです。小説を書く身としては、非常に面白い分析結果でした。

 

知っていることを書け

スティールとグリシャムの全著作に含まれるトピックをコンピューターに計算させると、ふたりが「知っていることを書け」という鉄則を守っていることがわかる。野球選手を夢見たものの、結局弁護士になった作家がいちばんよく書くテーマは「弁護士と法律」で、次が「アメリカのチームスポーツ」となっている。5回結婚し、9人の子どもを育て、そのうちひとりを失った経験を持つスティールがよく書くのは、「家庭生活」「愛」「母親としての役割」だ。

ベストセラーの書き方として重要なのが、知っていることを書くことです。

私は今、異世界ファンタジーの創作辞典という本を読んでいますが、設定は作り込むほど物語に説得力が出るということでした。

 

今回の知っていることを書くというのも同様のことかもしれません。私は弁護士事務所で働いたことがないので、弁護士の話と言っても書くことはできません。しかし、薬物動態の研究所で働いていたので、コロナの分析研究所の話は書けると思います。知っていることは、現実味を持って書くことができます。

例えば、Drコトー診療所という漫画があるのですが、その中でPCRを使う場面があります。コロナでも有名になったあれです。漫画中では、PCRを原始的に手で行うのですが、普通はあり得ません。PCR専用の機器があり安価なものもあるので、普通は機械でお行います。お金持ちの娘さんが必要な薬だけ持って、機械を持ってこないことはあり得ません。そう言ったところで、自分の知っていることを書かないと、読者から現実味を奪ってしまうことになります。

そのような文章を書いてしまうと、「そんなわけないだろう」「なんでそんなことしてる」といったコメントをもらうことになります。知っていることを書くのは非常に重要です。心に刻みました。

 

リアルな言葉

notを短くしたn’tのようにインフォーマルな縮約系は、一般にベストセラーのほうに多く見られる。高校の授業だったら先生が眉をひそめるような文字の省略も、信頼できる本物の声に近づける効果がある。語り手の声は、一人称であれ三人称であれ、読者にはリアルに感じてもらわなければならない。具体例でいえば、ベストセラーでは非ベストセラーにくらべて「-‘d」は12倍、「-re’」や「’m」は5倍多く使われている。

先述しましたが、現実味は大事です。

筆者に没入感を与えるためには、リアルな言葉、リアルな設定が重要です。言葉にも注意したいと思いました。

 

感情を揺さぶる

だが、読者のレビューを読んだり、ブッククラブの参加者に話を聞くと、多くの人が「よい小説」と「途中でやめられない小説」をわけるのは登場人物だという。わたしたちは登場人物を通じて、ものを見たり、判断したり、夢を見たりする。つまり、そういう経験ができることを前提に、わたしたちは本を買うのである。登場人物はわたしたちを未知の場所に連れていってくれる。~中略~

読書の楽しみのひとつは、登場人物に共感したり、嫌悪感を抱いたり、あるいはその両方の感情を味わいながら、犯罪や欲望、信頼、冒険の顛末をたどるところにある。

引用しましたが、読書の楽しみは疑似体験することです。

もしお金持ちじゃなくても、お金持ちの物語を読めば擬似的な体験ができます。

重要なことは、体験です。それも、良いことだけではなく、悪いこともです。本書籍序盤で売れる物語のパターンの説明がありましたが、悪い時と良い時、二つの感情があった方が良いのです。

私は、最近ライトノベル、といよりもWEB小説を書いています。そこでのルールは、嫌なことは書かない、つまり、主人公が不利になるとWEB小説は読まれないそうです。

そのため、最近の流行りは、「転生したら最強〇〇になった」など、生まれた瞬間から勝ち続ける話です。なぜなら、日本の10代~30代は疲弊しており、疲れている中、負ける小説は読みたくないそうです。

もちろん、日本とアメリカ、年齢層などの条件で事情は違いますが、私も心を揺さぶる小説を書きたいと思いました。ダメなら、勝ち続ける話を書きたいと思います。

 

言葉の修飾

キャラクターを活かすことができるかどうか、動詞の選択は大きな鍵を握る。「叫んだ」り、「要求した」りする女性の小説が売れないのは、それが現代の女性を反映しているとかいないとか、そういう問題ではないだろう。単にshe said(彼女は言った)と言えばすむところを、ほかの言いまわしで表現しようとするのは、作家にとって地獄への第一歩ということだ。

アメリカの文学では、単純な言ったという語を使った方が良いようです。

ただし、日本だと事情が変わるかもしれません。

ミステリー小説を書くコツと裏ワザという書籍の中で、「言う」と書くなという項目があります。

 

そもそも言ったことがわかるのに何故「言う」と書くのか、他の言葉に置き換えろ(嘯くなど)、そう言ったの「そう」を説明しろなど、言うは使わない方が良いようです。

こちらもアメリカと日本の違いなのでなんとも言えませんが、国によってはベストセラーの項目が違うかもしれませんね。

 

アクションプラン

次に、私がこの本を読んで行うことについて書きます。

以下の四点です。

  • 自分の得意なことを書く
  • 言葉にリアルな雰囲気を出す
  • 山と谷を意識する
  • 読書

 

まず、自分が知っていること、得意なことを書きます。もし自分が知らないことなら、徹底的に調べ、現実味を出すようにします。いわゆる説得力です。

次も似たような項目ですが、リアルな雰囲気を出すことです。私は今、8歳の子の話を書いているのですが、なるべく馬鹿っぽく書いています。作者としては、なるべくキャラクターを動かしたいのですが、あまり作者の意図を書いてしまうと8歳にしては動き過ぎてしまうので、なるべく子供っぽく書いて、主人公や周りの大人を動かすようにしています。

最後に、山と谷です。先述しましたが、WEB小説は、「俺強え」という、主人公が負けない話が好まれます。しかし、私自身、主人公が負ける話が好きなので、主人公が負けたり、勝ったりと、読者を一喜一憂させる話を書きたいと思います。

実は本書中で、コンピューターがアルゴリズムを用いて、良い書籍というものを抽出しています。総合部門10冊を挙げます(本当はランキング100まで書いてあります)。

  1. Dave Eggers,The Circle「ザ・サークル」
  2. Jobi Picoult,House Rules
  3. Maria Semple, Wherer’d You Go, Bernadette
  4. Michael Connelly, The Burning Room
  5. David Baldacci, The Hit
  6. Patricia Cornwell, Scarpetta「スカーペッタ」
  7. Harlan Coden, Six Years
  8. James Patterson, Double Cross
  9. Janet Evanovich Twelve Sharp「あたしの手元は10000ボルト」
  10. William Landy, Defending Jacob「ジェイコブを守るため」

これらの本も読んで、売れる書籍について学びたいと思います。

 

感想

ベストセラーをコンピューターを用いて分析した結果を紹介しています。

分析はしていますが、有名なSAVE THE CATの法則ヒーローズ・ジャーニーなどの書籍で有名なジョーゼフ・キャンベル氏の言っている内容と、コンピューターで抽出した結果が似たような結果になっています。

 

千の顔をもつ英雄 上 ハヤカワ・ノンフィクション文庫 / ジョーゼフ キャンベル 【文庫】

 

先ほども述べましたが、アメリカと日本では事情も当然違うと思います。それでも、似たような物語のカーブが好まれたり、現実味を出したりと、日本の物語でも使える話はありました。

 

作家を目指す人は、読んで損のない書籍だと思いました。

ベストセラーを分析しているという内容であり、読み物としても面白い内容だと思います。

 

また、本書では、コンピューターが文体や、総合力で優れた書籍を抽出しています。

時間がある時、ベストセラーコードが分析して評判が良かった書籍を読みたいと思います。