みなさんこんばんは。
今回はやり抜く力 人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける(GRIT The Power of Passion and Perseverance Angela Duckworth)を読んだ感想です。
ビジネス本としてかなり有名な本です。
GRITを身につけるためにも、読むこととしました。
以下、書籍より引用した文章については下記のボックスで囲みます。
著者は?
著者はアンジェラ・ダックワース氏
ペンシルベニア大学心理学教授であり、グリッド(やり抜く力)研究の第一人者で2013年にマッカーサー賞を受賞。TEDトーク「成功のカギは、やり抜く力」は900万回の視聴回数を超えます。
翻訳は神崎朗子氏です。
「スタンフォードの自分を変える教室」や「スタンフォードのストレスを力に変える教科書」などの作品があります。
印象に残った内容は?
成功するのに必要な力「グリット」について説明し、「グリット」を内側と外側から伸ばす方法についても紹介しています。また子供の教育についても考えを紹介しています。
グリットと才能の相関
では、才能はどうか?言語知能のレベルも、コンテストを勝ち進む者を予想する判断材料になることがわかった。ところが「言語知能指数」と「やり抜く力」には、相関関係はまったく見られなかった。それどころか、言語能力の高い生徒たちは、言語能力の劣る生徒たちよりも練習時間が少なく、コンテストへの出場歴も短いことがわかった。
一般的に考えてしまう才能(能力)ですが、やり抜く力(グリット)とは直接的な相関がないとのことです。
また、学力が高いほど、平均的なグリットは低いとの結果も紹介しています。つまり、現状の能力よりも、グリットが重要ということです。グリットが高いと、やり抜く力が強いので努力し、必然的に練習時間が増えます。それにより能力が高まるということです。
面白いのがグリットが高い人は練習時間が多く、楽しさと大変さを強く感じていることです。
筆者は以下の式を提唱しています。
- 才能×努力=スキル
- スキル×努力=達成
自分の印象では、スキル=インプット、達成=アウトプットかと思います。
才能がある人は、簡単にスキルが成長します。そのため、スキルが成長するとその分結果が出ます。しかし、努力がアウトプットにも必要なので、努力をしなければ良い結果はでません。
一方で才能が無くても、努力量が多ければ結果が出ます。というのも、才能が無くても努力量が多ければ、スキルは身につきます。そのまま努力量が多いと、達成できることも多くなります。
これは非常にわかりやすい計算式に感じました。私自身才能が無い側の人間なので努力で埋め合わせしてきましたが、それでも非常に勇気づけられる内容でした。
エキスパートたちの3つの練習方法
- ある一点に的を絞って、ストレッチ目標(高めの目標)を設定する。
- しっかりと集中して、努力を惜しまずに、ストレッチ目標の達成を目指す。
- 改善すべき点がわかったあとは、うまくできるまで何度でも繰り返し練習する。
私の中でお馴染みの、1万時間の法則で元の研究となったアンダース・エリクソン氏の話です。
意図的な練習をしつつ、1万時間達成すると一流になれるという話です。
具体的な手段では、上記3点です。
まず目標を設定し、自分がその目標を達成するのに何が足りないかを実施して反省点を探します。反省点を重点的に行い、弱点を克服し、再度同じように目標を設定するという流れです。
書くと簡単ですが、1万時間繰り返すためにはグリットが必要なことはわかるかと思います。本書では、プロも意図的な練習は最大1時間が限度で、1日3~5時間しかできないと書いています。
固定思考を脱却する方法
ドウェックとともに研究活動を行っているスーザン・マッキーは、企業のCEOへのアドバイスとして、「固定思考」の悲観的な自分にあだ名をつけるという方法を提案している。たとえば、こんなふうに使うのだ。
「いけない、”仕切り屋クレア”をミーティングに連れてきちゃった。いまのはナシね」
「やることが多すぎて”あわてんぼうのオリヴィア”がパニックしそう。どうすればいいか、一緒に考えてくれない?」
結局、「やり抜く力」を発揮するための視点を取り入れるためには、「人間は何でもやればうまくなる」「人は成長する」という認識が欠かせない。私たちは、たとえ人生で打ちのめされても、這い上がれるだけの力を持っていたいと思っている。
成長思考とは、人は常に成長して変わることができるという考えです。一方で、固定思考は、人は変わることができないという悲観的な考えです。普段は成長思考の人でも、落ち込んだ時などは固定思考になってしまうことがあります。
そのようなとき、悲観的な自分にあだ名をつけるという方法を紹介しています。つまりは、客観的に見るということですね。これにより、気持ちなどをリセットすることができるのではないかと思っています。
グリットも日によって変わるかと思います。こういうテクニックを使って、常に成長思考でいたいものです。
感想
やり抜く力グリットについて紹介している良書籍です。
才能よりも、むしろやり抜く力が重要ということで、どんな人でもチャンスがあるかと思います。
本書では、グリットを内側から伸ばす方法と、外側から伸ばす方法を紹介しています。以下私が感じたことを簡単にまとめます。
内側から伸ばす方法
- 興味を持ち、自分で掘り下げ、周囲の支援で興味を持ち続ける。
- 目的を見出し、人の役に立つ。
- 楽観主義でいる。
外側から伸ばす方法
- 最後までやる習慣をつける
- 1年以上継続する
- 複数の活動を継続的に行う
- 難しいことを続ける
どれも、やろうとすれば実施できることだと思います。自分のグリットを伸ばすため意識していきたいと思います。
本書では、多くのビジネス本と関連する内容が書かれていたのも印象的でした。
例えば、ジェームズ・フリン氏の社会的相乗効果の話が出てきますが、この話では、バスケットボールの話を例に出し、なぜバスケットボールの技術レベルが上がったかについて話をしています。結論としては、テレビでバスケットボールが有名になり、バスケットボール人口が増えたことでレベルが上がったは無いです。
また、天職の話も出てきます。
有名なレンガ職人の話で、1人目はレンガを積んでいると答え、2人目は教会をつくっていると答え、3人目は歴史に残る大聖堂を造っているという話です。
教育の話も印象的です。
デイヴィッド・イェーガー氏のエクササイズの話ですが、学生に対し「どうしたら世の中はもっと良くなると思いますか?」「いま学校で習っていることで、そのために役立ちそうなことはありますか」と質問をしました。授業の1コマぐらいの簡単なエクササイズですが、生徒たちの学習の取り組みが急増したという話です。
最後に、最近読んだデイヴィッド・ブルックス氏の話も出てきます。履歴書に書く長所や追悼文に書く長所で有名な彼です。
今まで読んだビジネス本の話がまとまり、さらにグリットと関係して書かれているので、興味深く読めました。
物事を成功に導くため、非常に参考になった書籍でした。