みなさんこんばんは。
今回はネットフリックスで放送されているイカロスを観た感想です。
いつも通りドキュメンタリーが好きなので、観ることとしました。
非常に面白い作品でした。
元々監督がドラッグを使用して、ロードレースでのドラック検査の無意味さを証明する企画だったのですが、それがオリンピックドーピングに関与したロシアの陰謀にまで及ぶ超大作です。
ドキュメンタリーであるので、視聴後にスッキリするという終わり方では無い点には注意が必要です。
あらすじ(ネタバレを含むので注意)
ドキュメンタリー映画です。
監督のブライアン・フォーゲルはアマチュアのロードレーサーです。
ツール・ド・フランスで7連覇したランス・アームストロングが、ドーピングをしていたことがわかりました。
アームストロングは薬物検査をしていたのですが、どれも検査はパスしていました。
それはチームメイトが検査を助けていたからです。
そこで、監督がやろうとしたのは、自分の体にドラッグを使い、成績を良くしつつドラッグ検査をすり抜けることです。
つまり、薬物検査の管理体制の問題を訴えることです。
そこで、アマチュア自転車レースのオート・ルートに出場することにします。
初出場時、ブライアンは14位という結果を残します。
最初に、その計画をオリンピック分析研究所の創始者であるドン・キャトリンに助けてもらうことにします。
しかし、評判を気にしたドン・キャトリンは途中で降板してしまいます。
ドンはある人物を紹介します。それが本作品のメインとなる、グリゴリー・ロドチェンコフです。
グリゴリーはモスクワの世界反ドーピング機関(WADA)研究所の所長です。
最初に会った時から、ひょうきんなグリゴリー氏の性格が伝わってきます。
作中、監督のブライアンとの親交を深めていきます。
なぜWADAの所長が自分の企画を助けてくれるのか疑問に思いつつも。
ドイツで放送されたドキュメンタリー番組により、グリゴリーがドーピングの中心ではないかと放送されます。
ドーピングで力をつけたブライアンは20%ほど能力が向上していました。
目標としていたオート・ルートの大会では、ドーピングを認めておらず抜き打ち検査をすると発表していましたが、検査はありませんでした。
大会では、途中まで良い成績だったのですが、自転車のギアが壊れ、順位は去年より低い27位で終了しました。
2015年11月9日、WADAはドーピングが事実であると報告しました。
そして、それが国家ぐるみであると。
そこで、信憑性が明らかにされ、グリゴリーはラボの所長を解任されることになります。
身の危険を感じ、グリゴリーはアメリカに逃れることにします。
ブライアンが逃亡の手配をし、グリゴリーは妻子をロシアに残し、アメリカへと脱出します。
グリゴリーはアメリカで、ロシアのドーピングの手段について公開します。
国家がメダルを取ることを求めたことや、実際のオリンピックでのサンプルの取り替え方法などについてです。
当初、グリゴリーの訴えにロシアは反発していましたが、最終的に2016年7月18日のWADAの調査では、グリゴリーの主張に間違い無いとWADAは報告しました。
しかし、ロシアのプーチン大統領は政治的介入だと反発し、リオオリンピックではIOC(国際オリンピック委員会)によりロシア選手の参加が認められました。
グリゴリーは、米国内でロシア当局の監視対象であり、米国内某所で保護拘置状態でありながら今も命の危険に晒されています。
最後に、1666個の証拠を挙げられつつ、プーチン大統領は国の関与を否定しています。
感想
国家のドーピング関与にまで及んだ超大作です。
ドキュメンタリーではかなり大規模な内容ではないでしょうか。
当初、薬物管理体制に問題を投げかけようとしていた監督ですが、オリンピックでのロシア国家によるドーピングという内容に切り替わっていきます。
その中で、描かれるのがグリゴリー氏との交友です。
ドーピングの計画を通じて、監督との交友を深めていきます。
グリゴリー氏がどうやってラボの所長まで上り詰めた話も興味深いです。
グリゴリー氏は昔中距離ランナーの選手であったことを話します。
その時、ドーピングで筋肉をつける手法を知りました。そこで、ドーピング管理の道を選んだのです。
昔、中国がドーピング薬の生産を担っていましたが、オリンピック委員会に製造を中止されます。
そこで他の指揮者の元、オリンピックチームは質の低い薬を使っていたのですが、グリゴリー氏が定量下限値の伸ばす測定方法を開発したことにより、その薬は陽性反応を示し使えなくなります。
そこで、グリゴリー氏がドーピングの管理を任されることになります。このことで、ラボの所長までなったのです。
加えて興味深いのが、政治的な関連です。オリンピックでの勝利が、政府の支援に繋がり、さらにロシアのウクライナ侵攻へと繋がります。
ここら辺も、ただのドーピングの話ではなく、興味が惹かれます。
オーウェルの1984という書籍が、グリゴリー氏の信念であり、それにちなんだ、構成(学習、理解、受け入れ)もされています。
構成も面白いですし、内容も面白い、一体どうなるんだといったドキドキ感もあり、終始面白く見ることができた映画でした。