みなさんこんばんは。
今回は科学的根拠で示す学習意欲を高める12の方法を読んだ感想です。
子供の教育に興味があるために読みました。また子供への指導に使える=自分にも使えるのではないかと思っているので、自分への指導用でもあります笑
個人的には面白く、指導面での注意点がわかりやすいと感じました。
著者は誰?
著者は辰野千壽氏です。
教育心理学者で、応用教育研究所所長や学校教育研究所顧問を務められ、筑波大学・上越教育大学名誉教授でもありました。
残念ながら2016年1月20日に亡くなられています。
内容は?
本書は子供に学習意欲を与える方法として、12個の方向性から学習意欲を与える方法について研究事例とともに示しています。具体的には、以下の12の方法です。
- 興味
- 知的好奇心
- 目的・目標
- 達成動機
- 不安動機
- 成功感
- 学習の結果
- 賞罰
- 競争
- 自己動機づけ
- 学級の雰囲気
- 学習意欲を高める授業
若干読みにくく感じる文章もありますが、各章の最後にまとめが書かれているので、最終的な理解をしやすいかと思います。
ただ最初は感心していましたが、12個の要素が多かったため、最後には忘れてしまいました笑
これを頭に残るまで理解する必要があるので、繰り返し読む必要を感じました。書いてあることについては、納得できる内容でした。
印象に残ったフレーズ
いくつか印象に残ったことを書きます。
興味をわかせるための方策
教師が良い影響を与える
教科の好き嫌い、あるいは興味をもつかどうかには、その教科を指導する教師の態度が影響します。教師自身が、担当の教科に興味と自信をもち、上手に指導するときには子供の興味は高まります。
私自身、あまり教師が子供に与える影響はないものだと思っていました。私は歴史が好きですが、教師の影響で好きになったと思えないからです。
ただ高校時代お世話になった地理の茂木先生は、確かに地理に興味を持つ一つの要素だったように感じます。
地理の授業は興味のない人間には眠いだけですが、寝ている生徒を見て茂木先生は、「ここにはツェツェバエがいるのか?あれに刺されると眠くなるんだ」とよくおっしゃられていました。
昔ハマったゲームにレインボーシックスシージというゲームがありますが、それにツェツェバエが出てきました。
ああ、ここで繋がるのかと思いました。今、私は、哲学や地理、歴史などを学んでいますが、それも茂木先生の影響が一つにはあるかもしれません。それだけ教師は重要な役割なんですね。
学習の結果を知らせる方法
指導のポイント
- 結果が本人の期待に反すると、がっかりして、かえってやる気をなくすこともあるので、結果が思わしくない時も、「こんなことではだめだ」などと言わないで、適切に励ます。
- 自己評価は、不安を少なくする結果があるので、適度にこれを用いる。
良く言われることに、フィードバックの大事さがあるかと思います。
私の会社でも、終わったプロジェクトを分析して、それを次に活かせたら理想だよねといった話が良く出ます。ただ、実際には、働き方改革で残業時間を減らすため、終わったプロジェクトなど顧みずに、どんどん次のプロジェクトをこなしていきます。
実験結果から、やはりフィードバックが大事とのことがわかります。もちろん、子供にも重要なので、何かをやったらフィードバックすることは大切のようです。解説にもあるように、やる気を無くさない程度には、フォローが必要です。
言葉かけに注意する
やる気をなくした教師の言葉
小学校 何をしてもダメだな こんなことがわからないのか
この絵はできすぎているわ
中学校 中学生になっても、こんなことがわからないのか こんなことは常識だね
◯◯君を見習え
高等学校 こんなことがわからなかったら、見込みがないね。 去年の方がよかったね。
本当は教師になりなくなかった。仕方なしになった。
教師の性質上、どうしても多くの生徒を相手にするため、一人一人に誠実に向き合うのは難しいかもしれません。ついうっかり口をすべってしまうこともあるでしょう。
上記は、大学生に、やる気をなくした教師の言葉を聞き取った結果になります(杉村健、1988年)。
教師にとっては生徒は30人いるかもしれませんが、生徒にとって教師は1人です。影響の与える効果を理解し、しっかり向き合わないといけませんね。
感想
私自身、子供の教育の本は何冊か読んでいますが、とても参考になりました。
学習意欲を高める目線で書いた本を読んでなかったので、子供の教育や、自身のやる気を高めることに生かしたいと思います。
個人的に面白かったのが、行われた実験と、年代がわかることです。
研究者として働いていたので、これが面白かったです。
先述しましたが、非常に勉強になる反面、項目が多いので、全ては覚えられません。何度も読んで、血肉としたいところです。
以下、気をつける点のメモです。
- 興味を持たせる、親が子供がやったことに興味を持つ。
- あまり報酬を与えない(外的動機づけ)。報酬を与えるとしても、行動を統制するよりも、行動についての情報を与えるようにする。
- 他者と比べさせすぎない。
- 昔の自分と比べさせ、褒める。
私自身面白いと思いましたが、アマゾンの評価はあまり良くないようです。
タイトルが科学的根拠となっていますが、文末に参考文献として論文が載っていない点です。
そのため、原著を読みたいときは、不便ですね。
私も何人かの学者の論文を探しましたが、マイナーな人は見つかりませんでした。
その点では、不便かと思います。ただ、読み物としてはとても面白かったので、私の書斎に置いておきたい本にランクインしました。
教育に興味がある人は、オススメでした。