コロナウイルス検査でよく聞くPCR法の解説

みなさんこんばんは。

 

今回はコロナウイルス検査でよく聞くPCR法について解説していきたいと思います。

PCR法とは?

PCR法とは非常に汎用的なDNA増幅技術です。

私は大学院でも、以前勤務した研究所でもPCR法を使用していました。

 

PCRとは、Polymerase Chain Reactionの略で、キャリー・バンクス・マリス氏が開発した手法です。ちなみにこの功績で、彼はノーベル化学賞を受賞しています。

 

PCRを説明するにあたり、まずはDNAについて紹介します。

DNAとは?

皆さんもDNAという言葉は聞いたことがあるかと思います。

デオキシリボ核酸(DNA:DeoxyriboNucleic Acid)といい、言ったら我々生物の設計図のようなものです。

 

今から70年ほど前に、ジェームズ・デューイ・ワトソン氏とフランシス・ハリー・コンプトン・クリック氏がどうやらDNAというものが二重らせんのような構造をしていることを突き止めました(他人の研究を盗み見たなど色々ありますが・・・)。

 

このDNAが実際に機能するタンパク質を生み出します。

正確には、このDNAからリボ核酸(RNA:RiboNucleic Acid)という一本鎖のRNAが作られます。

 

そのRNAを元に、タンパク質が作られるという流れです。

 

ざっくりいうと、タンパク質が細胞を構成し、組織を作り、臓器が形成され、生物として成り立っています。

 

 

DNAですが、3つの要素から構成されます。

すなわち、糖(デオキシリボース)、塩基、リン酸です。これが繰り返し結合することで、DNAを構成しています。

 

DNAですが、実は4種類あります。

デオキシリボース、リン酸の構造は同じですが、塩基の構造が異なっており、塩基部分はグアニン(G)、アデニン(A)、シトシン(C)、チミン(T)の4種類存在します。

これらの塩基が対になることで、DNAは二重らせんを構成しています。GとCが3本の水素結合、AとTが2本の水素結合で結合することで、2本鎖となっています。

 

 

ここで、5’と3’という表示がありますが、簡単にいうとDNAの向きを示しています。

あとで重要になりますが、PCRでDNAを増やす時は、5’から3’に向かって増幅することになります。

 

 

 

さて、PCR法ですが、DNAを増幅する方法と紹介しました。

その内容は、大まかにDNAを1本鎖同士に分ける熱変性と、1本鎖の鋳型に対応したプレイマーをくっつけるアニーリング、DNA鎖を作成する伸長反応とに分けられます。

 

熱変性

まず、DNAが2本鎖であるため、これを1本の鎖にします。

先ほどの紹介しましたが、DNAは塩基部分が水素結合によりGとC、AとTがくっついています。

 

化学を知っている人はご存知ですが、水素結合とは比較的弱い結合であり、1molあたり8~40キロジュール程度です。

つまり、熱を与えるとそのエネルギー以上になるため、結合が解離します。

 

まずは熱を与えることで、2本鎖を1本鎖にします。図では直線ですが、二重らせんもわかりやすくするために直線で表記しています。

 

アニーリング

次にプライマーを先ほど解離したDNA1本鎖とくっつけます。

プレイマーとは、元になるDNA部分とくっつくように設計された短いDNA鎖です。

つまり、コロナウイルス検査の際はコロナウイルスに対応したプライマーが設計されており、コロナウイルスが存在することでDNAが増える結果になります。

アニーリングでは、プライマーが結合する最適温度に変えることで、結合を促します。

ここで、もしかしたら疑問が生じる方がいるかもしれません。熱変性の時に解離したDNAが再びくっつくのではないかと。しかし、これについては大丈夫です。なぜなら、DNAに対して過剰量のプライマーを用意しているので、最初に解離したDNA同士がくっつく確率は限りなく低くなっています。

 

伸長反応

最後に伸長反応です。

アニーリングより温度を上げることで、伸長反応が起きます。

何故、起きるかというと、PCRの名前にもあるDNAポリメラーゼのおかけです。

 

DNAポリメラーゼはプライマーとくっついた部分からDNAを伸ばすことで、DNA鎖をつくることができます。先述しましたが、5’から3’方向に延びることで、新しいDNA鎖が構成されます。

今まで、紹介した熱反応アニーリング伸長反応を何十回も繰り返すことで、DNAが倍ずつ増え、膨大な数へと増幅します。

 

 

実際のPCRの手順は非常に簡単です。

まずは必要な試薬(DNAポリメラーゼやプレイマーなどを含んだもの)を混合し、機械にセットします。

あとは、温度を設定し機械を動かして、1~2時間ほど待てば、終了です。

 

 

作業としては簡単ですが、一から構築するのは結構大変です。

例えば、プライマーの設計でも、良くないDNA配列だとプライマー同士が凝集してしまったり、温度がちょうど良い感じにならなかったりと難しい点もあります。

ただ、最初の設計などの準備が終われば、作業自体は非常に簡単です。

 

PCR法では、コロナウイルスの由来のDNAが存在しなければDNAは増えません。つまりPCRで増えたDNAを検出できればコロナウイルスに感染しているとなりますし、検出できなければ陰性ということになります。

なおPCR法では、PCR作業に1~2時間ほどかかります。

これはDNAを増やす作業のみです。ここから電気泳動なり、検出する作業をすることでさらに1時間ほどかかることになります。

従来のコロナウイルス検査では4時間ほどかかるとなっていましたが、妥当な時間かと思います。PCR部分に2時間ほど、DNA検出作業に2時間弱ほどということで、4時間程度かかることになるかと思います。

 

ちなみに杏林製薬が開発したGeneSoCというものでは、非常に短時間で測定を終えることができるようです。

色々な病院で導入が始まっているようです。

 

 

RNA逆転写酵素

さて、今まではDNAを増幅する方法であるPCR法を紹介しました。

しかし、ここで問題が生じます。

 

なぜならコロナウイルスはRNAウイルスだからです。つまり、DNAではないのです。

しかし、この点に関しては、RNAをDNAに逆転写酵素で変換することでPCRで増幅できます。

 

 

以上、簡単にPCR法の原理について紹介しました。

 

 

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