みなさんこんばんは。
今回はライフシフト2 100年時代の行動戦略を読んだ感想です。
(2021年出版)
前作ライフシフトは非常に勉強になる内容でした。ハローワークのセミナーでも、読んだ方が良いと言われました。そのときは私以外の人が読んでいなかったので、私が代表として感想を聞かれましたが、セミナーでも推奨されるほど読んだ方が良い内容の本でした。今回はその続編ということで、これからの人生設計を楽にするためにも読むことにしました。
以下、書籍より引用した文章については下記のボックスで囲みます。
著者は?
著者はアンドリュー・スコット氏とリンダ・グラットン氏です。
アンドリュー・スコット氏はロンドン・ビジネス・スクールの経済学教授です。英国内閣府の栄誉委員会メンバーなどを務めています。
リンダ・グラットン氏もはロンドン・ビジネス・スクールの経済学教授です。2018年に安倍元首相から人生100年時代構想会議のメンバーに任命された経歴もあります。
著書にベストセラーのワーク・シフトがあります。
翻訳は池村千秋氏です。ワーク・シフトから翻訳を務められています。経営学系の訳書が多いように感じました。
印象に残った内容は?
これからの時代の生き方について、今までの歴史を振り返りながら、自分達がどうするべきか、企業はどうするべきか、政府の課題は何かといった内容について紹介しています。
好奇心が重要
ジーノ(フランチェスカ・ジーノ)の研究によれば、人々が不確実な未来と厳しい外的環境に素早く対処するうえでは、好奇心の果たす役割が大きいという。好奇心の強い人は創造的な解決策に到達しやすく、(これはきわめて重要な点だが)型にはまった思考や誤った思い込みに陥る可能性が比較的小さいのである。
どの分野でも好奇心が重要なようです。
以前感想を書いたやり抜く人の9つの習慣でも、興味を持った方が気分が良いときよりもはるかに仕事効率が良くなると書かれていました。
私は結構興味を持つ方だと思います。歳を取っても、この特性は活かしていきたいですね。色々なものに興味を持って、人生を終えたいと思います。
格差の緩和
プリンストン大学の歴史学者ウォルター・シャイデルによれば、人類の歴史のなかで不平等が緩和されたのは、戦争、革命、その他の破滅的事態が起きた場合だけだという。p54
ちょうど今日、気になる記事を読みました。
億万長者の資産がコロナで増加。上位10人で最貧相31億人の6倍にという記事です。
国際NGOのオックスファムは、資産10億ドル(約1100億円)以上を持つ世界の億万長者の総資産が新型コロナウイルスのパン…
格差ですが、戦争や革命、破滅的事態が起きると解消するそうです。
戦争は無差別、革命は上流階級から襲われるイメージです。破滅的事態はペストのようなものでしょうか。ただ、ペストの場合、貧困層の人から影響が出ると何かの本で読んだと思います。貧困層がなくなると、貧困層の仕事がなくなります。また、死体の処理など、危険な仕事は、貧困層が行うため、より危険なリスクが高くなるといった話だったと思います。
コロナも同様に、破滅的な事態に思えますが、億万長者は逆にコロナで資産が倍増したそうです。
格差の問題は難しいですよね。もちろん億万長者の方も寄付したりしていますが、複利の効果などで資産はどんどん増加しますよね。私はお金持ちというわけではありませんが、格差については考えるべき問題だと認識しています。
年齢のインフレ
イギリスでは1925年、65歳以上の人が公的年金を受給できるものとされた。しかし、年齢ごとの死亡率では、今日の78歳と1922年の65歳が同水準だ。年齢のインフレを計算に入れるなら、78歳以上を「高齢者」の基準にすべきなのかもしれない。p71
なるほどと思った内容です。
65歳以上は、昔の基準で決められています。現在も、65歳以上を高齢者としていますが、明らかに元気な度合いで言えば、100年前よりも現代の老人の方が元気だと思います。
その年齢のインフレを加味すると、78歳が高齢者として妥当なのではないかという話です。
本書では、年齢ごとに高齢者の基準を変えてよいのではないかといった話もあります。面白い内容で納得でした。
世代間のレッテル
興味深いのは、社会の年齢別分離が進むにつれて、世代に対するレッテル貼りが強まっていったことだ。人々は異世代と接する時間が少なくなり、異世代についての知識が乏しくなった結果、知識の欠如を埋め合わせるために、世代に関するステレオタイプへの依存を強めていったのかもしれない。p200
これも面白い話です。
私は1990年生まれなので、ゆとり世代です。やはり、会社で働いているときは、何かすると、「ゆとりだから」と言われた経験があります。このレッテルですが、異なる世代への知識がないためレッテルを貼ることで知った気になるようです。
このレッテルですが、有益がどうか本書で議論されています。結論としては、レッテルを貼ると世代間の対立を生み、課題が見えにくくなると考えています。
対策としては、世代間の共感が重要との提案がされています。この話も面白いですね。
最近読売新聞で読みましたが、高齢者と学生が同居するアパートを運営しているという記事が書いてありました。家賃は高齢者と学生で折半するため、お互いに安い金額で住める仕組みです。高齢者は若い子と話すことで、孤独を埋めることができますし、孤独死のリスク、ひいては健康面で良い影響があります。学生も親御さんの代わりに相談、話ができますし、こちらも孤独を防ぐことができます。学生はこの仕組みを良いと話していました。コロナ禍で人との繋がりが減っている世界で、このような仕組みは、まさしく世代間の共感になると思います。
教育の意義
煎じ詰めれば、教育の目的は、人々に人生の準備をさせることにある。とりわけ、職に就く準備を整えることが次第に重視されるようになっている。これは、労働市場でテクノロジーと教育が競争関係にあるためだ。ある人の教育レベルがテクノロジーとの競争に勝てていれば、その人の雇用と所得は安泰と言える。p260
教育の意義と問われれば、「よりよく生きるため」と私は答えると思います。
本書では、教育は人生の準備をさせること、テクノロジーに勝てれば雇用は守れるとの話でした。
なるほどと思いました。教育は機械(テクノロジー)に負けないためのものだったんですね。そのような意識はなかったので、もし学生に教育の意義を聞かれたら答えられる気がします。
べーシックインカム
2019年、フィンランド政府は、2000人の失業者を対象にした2年間の試験プロジェクトを完了した。給付対象者たちはプロジェクト終了時に、自分が当初より健康になり、自信が強まり、不安が和らいだと述べ、必要な手続きが少なく、私生活にあまり介入しないベーシックインカムの仕組みを好ましく感じていると答えた。しかし、受給者が職に就く確率には違いが生まれなかった。ほかの社会保障制度に比べて、人々の仕事への意欲を高めることもなければ、意欲を低下させることもなかったのだ。p295
ベーシックインカムには昔から興味がありました。
簡単にいうと、社会保障を廃止する代わりに、お金を配る制度です。必要な生活費を配るため人は仕事をしなくて済みます。その代わり、芸術など人間の意義がある活動をするという考えです。
例えば、服を買うとすると、シマムラ、ライトオン、ユニクロなど多数の服屋があります。しかし、やっていることは服を作る(服を売る)ということで、3つの会社が必要なことではありません。つまり、やらなくてもよい仕事になります。それだったら、1つの会社が服を作れば、最低限必要なことはやるよねという話だったと思います。
ベーシックインカムを行うと人は働く意欲がなくなり、社会はダメになるという意見が、反対の意見としてよく聞きます。
しかし、今回の結果を読むと、意欲を高めることも低下させることもなかったそうです。これは面白い結果だと思いました。
ちなみに、ベーシックインカムは財源を確保するため、社会保障制度を廃止することが考えられています。つまり、社会保障制度が充実している国ほど、予算を確保しやすいそうです。
イギリスは440億ポンドのコスト増が予想されますが、フィンランドは15億ユーロの歳出減が予想されています。
高齢者が働くと若者の仕事を奪う?
65歳以上の就労を支援する政策に対しては、若者から職を奪うのではないかという反対意見がしばしば聞かれる。一見するともっともな指摘に思えるかもしれないが、現実は違う。高齢者層の労働市場への大量流入が経済にどのような影響を及ぼすかを考えるうえでは、20世紀に女性が労働市場に参入したときの経験が参考になる。p315
私は歴史が好きなのですが、歴史が役立つ瞬間だと思いました。以前のデータを引用することで、今後のデータを予測することができます。やはり歴史は学ぶべきですね。
ちなみに1950年のアメリカでは、15歳超の女性の就労率は34%(1700万人)でしたが、2017年には57%(7100万人)に増加しています。このとき男性の仕事がなくなったわけではなく、男性の職に就いている人口も4100万人増えています。
つまり、女性が増えても、男性も問題なく働けるほど職が増えたということです。これと同様に65歳以上が働いても同じようになる可能性が高く、さらに高齢者の収益が上がれば、消費も増え景気が良くなるのではないかと考えています。
幸せとは
アラブ首長国連邦(UAE)は、2016年に幸福大臣の役職を新設した。ニュージーランドのグラント・ロバートソン財務相は2019年に初の「幸福予算」を編成し、国民の幸福を重んじて国家予算の使い道を決めた。p319
幸福大臣などの役職があるとは知りませんでした。
GDPは経済的指標になりますが、幸福度を測ることができないと最近では考えられています。お金だけでは考えず、他の要素を含めて議論する必要がありますね。
本書では、政府は経済面だけではなくコミュニティについても考える必要があるのではいかと提案しています。
感想
本書では、現代の働き方を振り返り、老いることについて考え、生き方について議論、紹介しています。さらに、政府や企業、教育機関がすべきことについても言及しています。
非常に勉強になりました。今は、昔と比べ物にならないぐらい生き方が変わっています。
最近までは、キャリアーケアラー型の働き方でした。これは、男性がキャリアを求め、女性が主婦や介護などをするモデルです。しかし、現代は、夫婦共に働くキャリアーキャリア型になっています。
この働き方だと子供を儲けにくくなります。子供がいる場合、教育についても夫婦だけで解決するのは難しいでしょう。ここらへんの話もあり面白く読めました。
さらに最近では、フリーランスの生き方も流行っています。
私も同じような働き方に憧れています。いわゆるワーケーションですね。バケーションしながらワークすることです。
例えば、ADDressという会社があります。これは、4.4万円の月額料金を払うことで、全国のADDressと契約した家に住むことができます。管理人もいることで、地域のつながりもあり、初めての土地でも出会いがあるそうです。面白そうですね。全国を旅しながら仕事ができます。
国内・海外に300か所以上ある空き家・シェアハウス・ホテル等を利用できる住まいのサブスク。二拠点生活や多拠点生活、お試し…
他には那須のワーケーションのプランがあります。
こちらは那須だけですが、2.5万円月額料金を払うことで、日曜~木曜までコテージで生活できます。
憧れていて、色々調べましたが、新しい生き方があることは確実です。
本書、ライフシフト2は非常に勉強になります。
今の生活様式を知るには、素晴らしい内容です。各国の動向もわかります。定期的に同シリーズの続編を販売してくれれば、勉強しやすいですね。
ちなみに、本書のウェブサイトもあります。ウェブサイトにある書籍はイギリス版でしょうか、ださいデザインに感じました……
さらに、二人の著書のウェブサイトがあったり、Twitterアカウントもあるため、定期的に新情報はゲットできそうです。
Delighted to see my paper “The Economic Value of Targeting Aging” -written with @NuCampEconomics and @davidasinclair – published in @NatureAging https://t.co/Xo0KLVvjtr
Here is a thread explaining the main results-#aging #longevity 1/12— Andrew J Scott (@ProfAndrewScott) July 6, 2021
The new hybrid work reality provides an opportunity to reset how we work. But getting it right is far from straight forward.
In my new article for @HarvardBiz, featured on the front cover of their magazine, I explore how people must be at the centre.https://t.co/3xT4SGYYda
— Lynda Gratton (@lyndagratton) April 13, 2021
非常に勉強になる内容でオススメです。ぜひ読んでみてください。