みなさんこんばんは。
今回は歴史を変えた100の大発見 物理-探究と創造の歴史を読んだ感想です。
昔から物理学が苦手だったので、物理について興味を持つために読むこととしました。
著者は?
著者はトム・ジャクソン氏です。
イギリスで活躍するサイエンスライターです。動物園で働いた後、ジンバブエやベトナムで自然保護活動を行います。それ以降、メキシコオオサンショウウオやゾロアスター教など幅広いテーマで一般向け啓蒙書を執筆しています。
監訳は新田英雄氏です。東京学芸大学教育学部基礎自然科学講座の教授です。
翻訳は、Wolfgang Voegeli(ヴォルフガング・フォグリ)氏とフォグリ未央氏です。
Wolfgang Voegeli(ヴォルフガング・フォグリ)氏は東京学芸大学教育学部基礎自然科学講座の助教です。
フォグリ未央氏はフリーランス翻訳家の方です。
印象に残った内容は?
原子ーその小さい始まり
この堂々巡りの論理の誤りを証明するため、唱えられた新しい理論が「原子論」で、レウキッポスが創始し、トラキア地方に住む弟子のデモクリトスが完成された。
原子論によると、物質(もの)は無限に分割することはできない。最後に行き着くのは、微小で目に見えない、分割できない「原子」であって、すべてのものは原子から組み立てられている(原子という言葉は、古代ギリシア語の「分割できない」という意味の言葉に由来する。)
今から2400年前に、デモクリトスが原子の存在を想定していたことには驚かされます。
ちなみに、デモクリトスは笑う哲学者とも呼ばれ、愉快な人物だったようです。
円周率の計算
アルキメデスは、この問題を解決するためにギリシアのもっとも強力な「道具」である幾何学を用いた。彼は、円が無数の小さな辺を持った多角形であると想像した。単純な多角形の辺の数を少しずつ増やしながら外周を計算すれば、円周の正確な長さに少しづつ近づいていき、円周率を計算することができるはずだ。
幾何学は強いですね。積分の面積の計算も、曲線下の四角形を極小化し、足し合わせることで出すことができますよね。
円周率も同様の計算で概算できるということは驚きです。歴史でも有名なアルキメデスは、円周率も概算したことを初めて知りました(最近他の本でもよく見ます)。
光の理論
アイザック・ニュートンはケンブリッジ大学で数学と物理を教えながら、研究の大半を秘密裏に行った。彼は、新しい発見をしても、しばらくたった後にしか公表しなかった。『プリンキピア』を発表して有名になる前にも、ニュートンはすでに光の分野に大幅な進歩をもたらしていた。
ニュートンは力学での大きな発見が有名ですが、それ以外にもスペクトルについても発見をしています。
ただ、秘密裏に研究しているのという話が気になります。そこら辺の意図は一体なんだったのでしょうか。
カエルの脚とボルタの柱
9年に及ぶ学術研究の後、ガルヴァーニは偶然に、彼の名が科学史に刻まれることになった発見をした。彼は、カエルの脚一対を乾燥させるために鉄条網に掛けた。その鉄条網は鉄でできていたが、フックは銅製であった。新鮮なカエルの脚はピクピクと動き始め、いくつかの報告によると火花さえ出たという。
有名なカエルの脚と金属を繋いだ絵ですが、これを発見したのは、ルイージ・ガルヴァーニ氏です。
ちなみに、金属とカエルをつないだものが、世界初の電池でもあるようです。
マッハと超音速
特定の媒質に対する音速はいくつかの要素によって決まるが、一般的に、圧縮しにくい物質のほうが音の伝わる速さは大きくなる。たとえば、音が水を伝わる速さは空気中よりも4倍速い、岩を伝わる場合はさらに速くなる。
エルンスト・マッハは光波の振る舞いを研究した後、1887年に音波に注目した当時、波としての音波と光波は構造的に異なるとは考えられていなかった。マッハは、物体が物質内を音波より早く進むとき何が起こるかに興味を持った。当時「超音速」で進むことができるのは弾丸だけであった。マッハは、1年後、弾丸の高速度撮影に成功した。彼の予想通り、円錐状の衝撃波が弾丸の周りを取り囲んでいた。
よく聞くマッハですが、人名だったのですね。
今から100年以上にマッハが観察され、さらに弾丸の写真まであったことには驚きです(本にはマッハの衝撃波の写真があります)。
無線の遠距離受信
1912年のタイタニック号の悲劇では、マルコーニの無線技術の潜在的な力が示された。タイタニック号にはマルコーニ無線電信会社の二人の無線技師が乗船しており、彼らは遭難信号を送信した。受信が遅れたため(一番近くにいた船の無線機の電源が切られていた)乗客の大多数を救うことができなかったが、マルコーニの無線技術がなければ死者数はもっと多くなっていたであろう。この惨事以来、船内の無線室には24時間体制で船員が勤務するようになった。
タイタニック号の知らなかった一面です。
無線の技術があったからこそ救出隊が来て、ジェームズキャメロンが劇中では助かったのですね。次に映画を見ることがあれば、無線連絡のシーンがないか探してみたいと思います。
量子の原子
モーズリーによる周期表の作成方法は、それまでの原子量と化学的特性に基づく配列よりも優れていることが明らかになった。ただし、なぜ原子核が様々な電荷をもつのかは謎のままであった。残念なことに、モーズリーが生きてこの謎を解明することはなかった。彼は、1915年、第一次世界大戦の戦闘中に狙撃されて命を落とした。
大戦中に多くの、著名な人物も亡くなったと聞きます。もし大戦中に命を落とすことがなければ、もっと素晴らしい発見もあったと思います。日本では、沢村栄治氏が有名ですよね。
余談ですが、幼女戦記の話の中で、大戦中に研究者が死んだ話が出てきます。これが、モーズリーだったような気がします・・・違う人だったかな。
標準模型
標準模型を打ち立てる第一歩は、1897年のジョゼフ・ジョン・トムソンによる電子の発見にまでさかのぼる。標準模型は、1970年代初期に全容を現し始めた基本量子群からなる理論で、物理学のあらゆることを説明するのを目的としている。
一番物理学でわからないのが、原子を構成する要素です。
クォーク、レプトン、フェルミオン、ボソンなど、それぞれの構成要素がありますが、全く繋がりがわかりません。
これについては、他の書籍で学びたいと思います。
感想
物理学の科学史がわかりやすく記載されています。
子供向けと言うことで、比較的平易に書かれているように感じます。
一方で、平易に書かれているため、原理などについて詳細に書かれていません。
その事象を詳しく知りたい場合は、他の書籍で調べる必要があります。
ただ、物理学の概要を知るには良書に感じました。
絵も豊富で、読みやすい印象です。