みなさんこんばんは。
今回は世界7大教育法に学ぶ才能あふれる子の育て方最高の教科書を読んだ感想です。
より良い教育法を学ぶためと、メジャーな教育法について知るため読むことにしました。
以下、書籍より引用した文章については下記のボックスで囲みます。
著者は?
著者はおおたとしまさ氏(1973年生まれ)です。
小学校での教育経験もある教育ジャーナリストの方です。調べた限り、2008年から書籍を出版されています。
余談ですが、ブログをアメブロで書かれています。
印象に残った内容は?
私たちが受けてきた一般的な教育、つまり学校に行って授業を受けてといった形だけではなく、他の要素や全く異なる概念を取り入れた教育法などについて書かれています。本書で取り上げられている教育法は以下の7つになります。
- モンテッソーリ教育
- シュタイナー教育
- レッジョ・エミリア教育
- ドルトンプラン教育
- サドベリー教育
- フレネ教育
- イエナプラン教育
これらの教育について実際に教育現場を見学して、その見学した内容についてもまとめられています。教育法について非常にイメージしやすい内容でした。
以下、上記教育方法の内容を簡単にまとめます。
モンテッソーリ教育
理念は、自立していて、責任感を持ち、他人への思いやりを持ち、常に学び続ける姿勢を持った人間の教育です。
子供は自分を成長させる自己教育力を持っています。
周囲の人間は、子供の成長欲求を汲み取って、自発的な行動を支援します。
子供たちは、必要な時に、必要な行動を取り、自分を成長させます。それをモンテッソーリ教育では、おしごとと呼びます。適したおしごとを見つけると、子供は集中して取り組みます。大人はそれをやめさせることが多いですが、それをやめさせず子供が納得するまでさせます。子供はその目標を達成すると、次の課題を自分で見つけます。
モンテッソーリ教育では、5つの教育分野が用意されています。
- 日常生活の練習
- 感覚教育
- 言語教育
- 算数教育
- 文化教育
大人は必要に応じて手本を見せます。モンテッソーリ教育では提示といいますが、周囲の環境を整えるのが大人の役割です。
シュタイナー教育
理念は、自由への教育です。権威に寄りかからず、自分で考え感じて、自分の意志と行動を結びつけることを目標とします。
世の中は、目に見えるものと、見えないものでできていると、シュタイナーは考えていました。また、人間は、身体(意志)と心(感情)と頭(思考)の3つでできているとも考え、人間は7年周期で変化すると捉えていました。
- 乳・幼児期(0~7歳):感受性が高いので、過度な刺激を受けすぎないように注意する
- 学童期(8~14歳):心を育てる時期。世界は美しいと感じされることが大事
- 思春期・青年期(15歳~21歳):思考を育てる時期。
またシュタイナー教育では、人間は4種類の気質があると考えています。
- 憂鬱質:独創的で思慮深く、神経質です。
- 粘液質:ゆったりゆっくりしています。
- 多血質:いききと明るいイメージの人です。
- 胆汁質:エネルギーに溢れた人です。
つまり子供の気質がわかると、子供のことがよりわかるということです。
さらに、シュタイナー教育では、自然の暖かさや素朴さを大事に考えています。
全体的にスピリチュアルな感じを受けました。
レッジョ・エミリア教育
理念は、子供は100の言葉を持っているです。
徹底した観察から行われる独創的な教育です。
中心になるのはプロジェッタツィオーネです。これは子供の知的好奇心を元にしており、子供が興味を持ったことを探究活動と題し、学んでいきます。私の時代で言う、総合の授業みたいなイメージでしょうか。つまり周りの大人は、子供が何に興味を持っているか、汲み取り引き出す必要があります。また重要なのが、ドキュメンテーションです。子供が何に興味を持っているのか日々、映像、写真、文字なので記録していきます。
このドキュメンテーションを中心にして、報告会議が行われます。
レッジョ・エミリア教育では、教育の専門家であるペタゴジスタと、芸術の専門家であるアトリエスタがいます。彼らが、教師たちとの報告会議を受け、教師を助けます。また親たちも教師を全面的にサポートします。ドキュメンテーションを共有し、教育について議論します。
レッジョ・エミリア教育では、理念はありますが、教育については、教師に一存されます。そのため、教師の裁量が非常に大きいそうです。
ドルトンプラン教育
理念は、生徒を従来の型にはめず、自分の考えを持てるよう環境を整え、問題を解決する力を養うことです。
方針として重要なのが、自由と協同です。教師が最初に子供の目標を決め、それに向かって自由と協同を用いて目標を達成します。
教育の形としては、ハウス、アサインメント、ラボラトリーが中心になります。
ハウスはホームルームになります。
アサインメントは、教師と生徒の契約のことで、どの課題をいつまでに終わらせるかという契約です。
ラボラトリーは、教科ごとの専門の教室のことで、生徒が自分で予定を組み、作業を行います。つまり得意な教科は素早く終え、苦手なことに時間を費やしても良いし、同じ課題を行う生徒がいれば、協同で作業することも可能です。ラボラトリーには、個人の進捗具合が貼り出され、プロジェクトの進行速度を把握することができます。
曜日ごとに、教科の教師に進捗具合を報告します。報告後、その教科の授業を一斉に受けます。これがカンファレンスです。
サドベリー教育
理念は以下のようになります。
学習が自己の動機、自己管理、自己批判によって最善のかたちでもたらされるとの原則に基づき、コミュニティとしての教育環境を創設、維持するものである
サドベリー・バレーの規則
子供たちに一切の強制はしません。また、評価がないので、成績はありません。アメリカで、大学の進学を目指す際には成績の提出を求められますが、サドベリー教育の教員は理由を説明し、成績を提出できないことを説明するそうです。
子供がやりたいことを学ぶときには、自発的に調べます。しかしそれで不十分だった場合、教師など大人と協定を結びます。これで授業のようなものが始まり学んでいきます。
例では、小学校6年間分の内容を24週、つまり24時間で全て学び終えました。やる気になっているときが一番勉強効率が良いとの好例です。
なお、内部の人間で学ぶ内容が十分でない場合は、外部の人間と協定を結ぶこともあるようです。
一方、自由であることを守るため、民主主義的な形をとっています。生徒も1票の権利を持っており、教師たち職員と同じ立場を持っています。驚くべきことに、予算管理や、学校職員の採用などについても、生徒は投票可能になっています。
またサドベリー教育では、自分で卒業のタイミングを決めることができます。しかし卒業証明書を得るためには、卒業後も責任ある市民として社会に貢献できることをプレゼンし、投票による承認を得なければなりません。
フレネ教育
理念は、子供は自分が役立ち、自分に役立ってくれる共同体の中で自分の人格を最大限に発展させるです。バランスが良い教育で、自分の興味を探求する個人活動と、協力して行う探究学習が組み合わされます。
以下にフレネ教育の特色を挙げます。
- 自由作文
- 個別学習
- 自由研究
- 仕事(トラヴァーユ)
- 生徒集会
- イニシアチブ
自由作文
何かのテーマについて書くというわけではなく、子供たちが自由に書くことができます。いわゆる国語の授業のようなものです。
しかし、文法など細かいことには気にせず、自由に書くことが特徴です。子供心にここが間違っているなど指摘されると嫌なものですが、もっと広く自由に書く内容だそうです。
個別学習
フレネ教育では、一斉授業よりも個別授業に重きを置いています。
2週間毎に子供たちは自分で学習計画を立て、それにしたがい個別に学習を進めていきます。終わったら色鉛筆で塗りつぶし、進捗状態を確認しながら計画を進めていきます。
自由研究
自分の興味がある分野を研究します。これも私の時代の総合学習に近いように感じました。
自由研究はコンフェランス内で発表を行います。
仕事(トラヴァーユ)
普通の学校での授業にあたります。
当然数学や国語だけではなく、畑仕事などの生活のような内容も含んでいます。
生徒集会
民主主義的に行われ、子供と教師も対等に意見を述べます。議論の結果は壁新聞にも記録されるそうです。
また、フレネ教育の学校では、学校協同組合という子供たちが組織する組合があり、お金について子供たち主導で管理します。お金がないときには、カップケーキを販売して利益を得るそうです。
イニシアチブ
学校のためになることを行うボランティア的な奉仕活動のことです。
今まで、内容について書きましたが、フレネ教育は指定したフォーマットのようなものがないので、ある程度学校ごとに特色があるようです。
ちなみにフランスの公立学校では1割の教員がフレネ教育の教育を行なっており、世界的には38国で行われているようです。
イエナプラン教育
理念は、子供の主体性の尊重、社会での協同、自分や他の人間に様々な人がいると理解することです。
イエナプラン教育の特徴としては、3学年(2学年の場合もある)にわたり構成される異年齢学級(ファミリーグループ)と4つの基本活動(対話・遊び・仕事・催し)を循環的に行うこと、また子供が探究的な活動を行うワールドオリエンテーション、サークル対話が特徴です。
ファミリーグループ
イエナプラン教育では、ファミリーグループが基本です。
オランダでは、4歳から12歳までが小学生であり、4~6歳、6~9歳、9~12歳がそれぞれ同じ教室(リビングルーム)で過ごします。
同じリビングルームで学ぶ生徒をファミリーグループと呼び、担当する教員はグループリーダーと呼ばれます。
リビングルームですが、机は大きめになっており、4~5人で向かい合い作業ができるようになっています。これは年齢が異なるため、年長者が年少者の面倒を見たり、作業が苦手な人間を得意な人間が助けられるようになっています。下記にリビングルームの例が載ったサイトを記載します。
4つの基本活動(対話・遊び・仕事・催し)
イエナプラン教育では、4つの教育活動(対話・遊び・仕事・催し)をリズミカルに循環させることが意識されています。
イエナプラン教育でも、一斉授業ではなく、自立学習が中心です。
その授業時間のことをブロックアワーと呼びます。内容は各個人の状況により、同じ学年でも違う課題に取り組むこともあります。
毎週子供はグループリーダーと相談し、自分のレベルに応じた課題をもらい、自分で1週間の学習計画を立てます。また必要に応じて、グループリーダーはインストラクションと呼ばれる、子供たちを集めて指導をします。1回で理解できたら子供は作業に取り組み、理解できない子は理解できるまで説明を受けます。また、理解できなかった子は十分フォローします。
ワールドオリエンテーション
ワールドオリエンテーションでは、自分の持っている問題を探求して学びます。つまり、既存の歴史を覚えるといった単純な学習ではありません。ワールドオリエンテーションは、ブロックアワーの教科学習や催しでも取り入れられます。
ワールドオリエンテーションについては、カリキュラムが作られており、7つの経験領域に分類されています。
領域としては、つくることと使うこと、環境と地形、巡る1年、技術、コミュニケーション、ともに生きる、私の人生の計7つです。各領域毎に具体例が提示され、教育方法や教材も提示されています。
サークル対話
イエナプラン教育では、リビングルームという名前にある通り、学校を生活の場として捉えています。そのため、1日の中でサークル対話という時間を取り大切にしています。
サークル活動は多岐に渡ります。朗読の読みのサークルや、作文を発表する作文サークル、ワールドオリエンテーションに関連した観察サークルや報告サークルです。通常の学校での朝の会や帰りの会にあたる、始業のサークルや下校時のサークルも行われます。サークルでは、子供が気付いたことや考えたことについて自由に言い合います。
ここで重要なのが、サークル対話時では、相手の発言が終わるまでしっかり聞くといった基本的なルールがあります。このサークルを通して、相手のことを受容する力を養えます。
感想
本書では、世界7大教育法として、以下の教育法を紹介しています。
- モンテッソーリ教育
- シュタイナー教育
- レッジョ・エミリア教育
- ドルトンプラン教育
- サドベリー教育
- フレネ教育
- イエナプラン教育
先ほど内容について簡単にまとめましたが、本書ではより詳しく書かれているので、興味を持った人は読んでみると面白そうです。
実際に、教育現場を訪問し体験したことを筆者は書かれているので、どのような教育が行われているか体感することができるかと思います。
ほとんど肯定的な内容が書かれていますが、ドルトンプラン教育校である河合塾学園ドルトンスクール東京校での見学では、1時間だけの見学であったためか否定的な意見が少しだけあります。教師の対応が疑問という内容でしたが、実際にそういったことまで書かれているので、レポートとしても信頼できると思っています。
私自身教育方法については知らなかったので、一気に7つもの教育方法が知れたのは大きな進歩です。
7つの教育方法の中で、シュタイナー教育が一番理解できませんでした。
有名人としては、俳優の斎藤工氏や、モモの作者で知られるミヒャエル・エンデ氏がシュタイナー教育出身です。シュタイナー教育のイメージとしては、神秘的であまり刺激を与えないよう配慮している点、落ち着きを重要視しているように感じました。勝手な印象ですが、芸術系の教育に向いているのではないかと思っています。
シュタイナー教育についてはより学んでいきたいと思いました。
もし、私が自分の子供を教育させるとしたら、モンテッソーリ教育かサドベリー教育が良いかなと思いました。
モンテッソーリ教育では、プロ棋士の藤井聡太氏やバラク・オバマ元大統領、マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏やアマゾン創業者のジェフ・ベゾス氏が出身です。
日本は受け身な授業が多いですが、私自身、子供のやりたいことで能力を伸ばした方が良いという実感があります。子供の時には、やりたいことも親から抑制されていたので、子供の興味を持ったことを「おしごと」として教育するという点で、私自身かなり納得の教育法でした。
次点としては、サドベリー教育が良さそうでした。
今、私はフリーランスで働いていますが、会社という枠組みはかなり私にとって辛いものでした。
同じように子供の時も学校という枠組みで収まりきらない人間にとっては、サドベリー教育で自分の興味があることを伸ばしていくのは非常に良いことだと思っています。
例でも挙げましたが、子供が学びたい時に24時間で6年分の算数を学んだ話を挙げたかと思います。
これは大人にも言えて、英語を学習するといっても全然英語は学べませんが、実際に出張で海外に行くとなると、急激な速度で英語を吸収できます。つまり、自分のやりたいこと(やるべきこと)に関しては非常に学習効率が高いのです。
また、本書中では、中学生でサドベリー教育校に来た男の子の例が紹介されています。その子は、最初に来た1年半はずっとゲームをしていたらしいのですが、ある日このままではダメだと思い、本を読むようになりました。そこから地域社会などに興味を持ち、自分から国会議員に会いに行くようになり、中3で卒業したそうです。その後、16歳で高校認定をとり、全国の都市を見て回るうちにコネクションができ、大学に行かずに就職できるかもしれないという状況になったそうです。
これを見ると、かなり良い例だと思います。
ただ、日本の教育では受動的な内容なので、指示を与えられることが得意な子供にとってはかなり苦しくなるかもしれません。その点では、モンテッソーリ教育の方が、まだ普遍的に対応できるかなと感じています。
つまり、子供が自発的に行動したいタイプだったら、サドベリー教育を受けさせたいし、あまり自発的でなかったらモンテッソーリ教育を受けさせたいなと勝手に思っています。
もちろん今の意見なので、子供が生まれた時どう思うかはわかりませんが、それでも教育について考える良い機会でした。
7大教育法を知り、共通していたのは、子供の探究心を大切にすることでしょうか。
多くの教育法で、研究のようなものが重要視されていました。
通常の学校では、多くの子供を同じような教育で同じような学力に仕上げないといけないので難しいと思いますが、それでも子供自身の探究心を大切にすることがやはり重要だと思いました。
他には、人との接し方も重要に感じました。
社会にでると、多くの人間と関わり、円滑に仕事を行う必要があります。そのためにも、教育として他人との接し方を学ぶことは非常に重要だと思っています。
教育法について興味がある方は読んで損がない本だと思います。