知識ゼロからの戦争史入門を読んだ感想

みなさんこんばんは。

 

今回は知識ゼロからの戦争史入門を読んだ感想です。

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(2020年出版)

 

戦争の歴史に興味があります。しかし、自分の興味がある分野しか詳しくないため、網羅的に学ぶため読むことにしました。

 

以下、書籍より引用した文章については下記のボックスで囲みます。

 

 

著者は?

著者は祝田秀全氏です。歴史学を専攻し、予備校、大学で講師を務めています。著書に、『2時間でおさらいできる世界史』『東大生が身につけている教養としての世界史』などがあります。

 

 

印象に残った内容は?

広く、浅く、ターニングポイントとなった戦争に焦点を当て、各項目を2ページでまとめています。2ページでまとめているため、非常に簡便です。要所にあるトリビア的な小話が面白い内容でした。

 

暦の小話

興味深いのは、7月がユリウス(Julius)と名づけられたこと。これはカエサルがユリウス氏族の出であることにちなみます。8月はアウグストゥス(Ausustus)。神々しさをかもし出す「尊厳者」の意味です。~中略~

なお、2月が閏年(2月29日)の月になっているのは、ローマ社会の年度はじまりが3月であったから。最後の月で時間調整を行ったのです。

この本の特筆は、トリビア的な小話だと私は感じます。

今回引用した部分は、ユリウス暦です。7月、8月がローマの皇帝の名前から来ているとは思いませんでした。

また、2月が閏年なのは、ローマの始まりが3月からというのは非常に勉強になりました。

なぜなら、今小説でファンタジーを書いてあるのですが、閏年をいつにしようと思っていたからです。年度始まりといえば、1月、4月、10月がありますが、なぜ2月が閏年かわかりませんでした。今回閏年を学べたのは、以前の記事で紹介したセレンディピティのおかげでしょうか。

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大使館、外交官の始まり

大使館や外交官制度の始まりは、イタリア戦争(1494~1559年)でした。神聖ローマ皇帝のハプスブルク家が西欧にも勢力を広げると、ローマ教皇、イタリア諸都市、イギリスがフランス側につきます。~中略

国際政治は何よりも、勢力均衡が第一。こうした考えから、「ハプスブルク家に対して同盟しよう!」ということになりました。

各国は情報を交換し、意志の疎通を図るため、互いに外交官を常駐させるようになりました。これが大使館の設置に発展します。

大使館の設立の経緯も初めて知りました。私の無知を晒すようですが、明治維新前後だと思っていました。全くもって違いました。

大使館があっても戦争が多かったのは、あまり意味がなかったのか、それとも戦争が促進されたのか、どちらでしょうか。

 

バブルの由来

こうして奴隷貿易の南海株式会社が設立されると、額面100ポンドの株価は10倍の1000ポンドになりました。しかし、会社の運営は、はかばかしいものではありませんでした。それが明らかになると、株価は124ポンドに暴落。歴史に名を残す「南海バブル事件」です。会社名の「南海」にたとえて、実体がないことで「バブル」という言葉が使われました。

こちらも私は知りませんでした。バブルといえば、チューリップバブルが頭をよぎります。しかし、奴隷貿易用の会社、南海株式会社にちなんでバブルという言葉が作られたようです。

調べると、チューリップバブルは1637年付近、南海株式会社は1720年に起きました。しかし、チューリップバブルは1841年にチャールズ・マッケイ氏に著されたExtraordinary Popular Delusions and the Madness of Crowds(邦題:狂気とバブル―なぜ人は集団になると愚行に走るのか)』で広く知られたようです。

つまり、チューリップバブルの時代には、バブルという言葉はなかったようですね。勉強になりました。

 

感想

戦争に焦点を当て、世界史を網羅的に解説しています。1つの項目を2ページで簡略にまとめているため、歴史嫌いの人もアレルギーなく読めるのではないでしょうか。全ページを合わせて160ページ弱なので、1時間もあれば読めます。

 

この本の特徴は、なんと言ってもトリビア的小話だと思います。

参考になった歴史的知識がかなりありました。以下何点か挙げます。

 

ピッグ、ポーク

豚は英語で、ピッグとポークと言います。

日本では、動物園にいる豚をピッグ、加工された食肉はポークになっています。

1066年にヘースティングの戦いで、イギリスにフランス語が広がりました。ポークはフランス語のporcに由来しているようです。この後、フランス語がイギリスに浸透、英語として定着しました。

 

フィリピン

太陽の沈まない国スペインが世界の頂点に立った時、それを築いたのがフェリペ2世でした。当時統治下にあったフィリピンがフェリペン(フィリピン)として名前に残っています。

 

メートル

18世紀、国際商業が発展し、グローバル化が進展しました。外交のベテラン、タレーランがメートルを提案しました。1メートルは子午線の4分の1の距離の1000万分の1として、メートル条約として世界化されました。

しかし、3カ国採用していない国があります。その中にアメリカ合衆国があり、インチやフィートを使っています。

 

華僑

アヘン戦争後、貧困に苦しむ中国人は世界へと旅立っていきました。奴隷制が廃止に向かったこともあり、中国人は貴重な労働力として、危険な作業に従事させられました。彼らは苦力(クーリー)と呼ばれ、サンフランシスコに向かいました。アメリカ西海岸のチャイナタウンは19世紀のこういった事情のためです。

成功者になるまで帰れない思いを持つ中国人を華僑といいます。本来は、いずれ帰国することを前提にした言葉でした。

 

ゴーストタウン新潟

1945年8月13日に、18万人の新潟市民が消えました。

広島に原爆が落とされた後、県が新潟が次の標的になると考えたからでした。理由は、長岡が空襲にあったのに、新潟になかったこと、空襲がない場所に原爆が落とされたからでした。

内務省の反対を押し切り、県知事が緊急避難布告をして、1日で一斉に避難しました。

 

 

このように、トリビア的な話があり、私としては非常に楽しめました。

ただ、歴史を学ぶには160ページは短いため、簡便に広範の歴史を学ぶ本、トリビアを学ぶ的な本として使えば、面白く読めると思いました。