みなさんこんばんは。
今回は笑育 「笑い」で育む21世紀型能力を読んだ感想です。
元々お笑いに興味があり、面白いとは何だろうと常に疑問を持っていました。さらに、大学時代の友人に松竹で働いていた芸人もいたため(現在は引退)、この本に興味を持ちました。
特に教育に興味があり、お笑いと教育の組み合わせの効果を知りたくて読みました。
著者は?
内容をまとめているのは、松竹芸能事業開発室「笑育」プロジェクトとなっています。
プロジェクトの担当は以下の3名の名前が載っています。
関根康氏(松竹芸能株式会社代表取締役社長、事業開発室長)
宮島友香氏(松竹芸能株式会社事業開発室室長代理)
卯野友美氏(松竹芸能株式会社事業開発室)
監修は井藤元氏です。闘力理科大学教育支援機構教職教育センター准教授です。
印象に残った内容は?
笑育メソッドを構成する3要素
「笑育が育む態度・技能」で記した項目は、漫才師に求められる基本的な態度・技能です。これらを習得することで、21世紀型能力が習得されます。
笑いにおける「センス」がないと到達できないレベルのことは挙げていません。誰もが能力次第で身につけられる技能です。
私の中で笑いは一種のセンスだと思っています。
ただ、この書籍では誰でも身に付けられる技能としています。本当に誰でも身につけられるのでしょうかね。
自己分析
自分に求められているのは、ボケ役なのかツッコミ役なのか。笑育では、ボケとツッコミというわかりやすいポジションを意識することで、社会に出た時により複雑になった役割分担をスムーズに把握することができると考えています。
社会で役割を担う前に、まずはプロジェクトの中で、ボケかツッコミを担当しようということです。
これは確かに、自分のポジションがどちらなのかを客観的に見る練習になりそうです。みな人生において何らかのロールを演じているため、この練習は一種の社会学習のように感じました。
技術とセンス
多くの芸人が「ツッコミには技術が必要だ」と言っています。
ボケは笑いの「センス」が問われますが、ツッコミは笑いの「技術」が問われます。
元お笑い芸人の友人にこれを言ったところ、微妙なところと返されました。
ツッコミは技術ということで何とかなりそうですが、ボケは才能ということでしょうか。
お笑いでも配慮が必要
芸人は舞台で漫才を披露する時、「その日のお客さんを見てネタのチョイスを考える」ということをよく言います。
男女比、年齢層、お笑いマニアか一般の観客か・・・・・・など、相手を見てその日のネタを選ぶのです。
ベテラン漫才師の酒井くにお・とおるは、地方営業で火事についてのネタをやる時は「最近この近くで火事はありましたか?」と事前に確かめるそうです。些細なことですが、笑いを生み出す現場ではこうした配慮が大切なのです。
それこそが、笑育の基本姿勢である「他者への配慮」に他なりません。
これについては全く知りませんでした。
こういった配慮が、人生でも大きな差につながるように感じました。
常識を打ち破る視点
なすなかにしの那須は、ネタづくりについて「反常識人になることが大切だ」と言っています。
この聞きなれない「反常識」とは、「非常識」とは違います。非常識とは常識がわかっていないことを指しますが、「反常識」とは、常識を踏まえたうえでの少しのズレを指します。
今までの笑いを考えると、これは確かに笑いの一つのパターンだなと思いました。
反常識という単語は初めて聞きましたが、反常識は大事な概念だと思います。
笑いの仕組みと漫才のパターン
芸人たちの漫才台本には、いくつかの定型があります。
「ズレ漫才」「視点を変える」「かぶせ」「勘違い」など、漫才台本を例にしながら、芸人が漫才の代表的なパターンを解説しながら実演します。
漫才をゼロからいきなり生み出そうとすると難しいように思いますが、パターンに当てはめることで笑いを作っていけるということを論理的に説明していきます。
笑いのパターンを知りたかったのですが、上記4つがその例となります。
こういった事例が多く書いてある本が他にあれば、読みたくなりますね。
保育園でも実施している
幸いいづみ保育園で授業を行う前、保育士から「とても引っ込み思案な子がいるので、無理に発表させないでほしい」という相談がありました。
初回の授業では、その幼児はほとんど言葉を発することができませんでしたが、2回目の授業では、自ら手を挙げて発表をすることができたのです。
笑育のレベルの高さを感じました。保育園という、中々知的な対話もできな幼児にお笑いを教えるのはすごいことだと思います。
アゲインというコンビの方はどちらも幼稚園教諭一種の資格を持っているようです。
多様化が続いていく、現代では色々な役職が求められるのかもしれません。
感想
松竹芸能が行っている笑育プロジェクトについて簡便にまとめられています。
本題は笑育なので、教育についての内容も書かれていますが、実施しているカリキュラム、お笑いのメカニズム的なことにも書かれています。
プロジェクトとしても面白いですし、お笑いとは何かといったことでも学びがありました。
本を探すと、お笑い関連の本があまり出版されていないので、お笑いの技術書みたいな本があれば読みたいと感じました。