残業学 明日からどう働くか、どう働いてもらうのかを読んだ感想

みなさんこんばんは。

 

今回は残業学 明日からどう働くか、どう働いてもらうのかを読んだ感想です。

 

前の職場でも残業は問題になっており、働き方改革で色々と政策が試されていました。しかし、改善はあまり見られなかったので、残業の問題について考えるため本書を読むことにしました。

 

以下、書籍より引用した文章については下記のボックスで囲みます。

 

 

 

著者は?

著者は中原淳氏+パーソル総合研究所です。

中原淳氏は、立教大学経営学部教授であり、同大学ビジネス・リーダーシップ・プログラム(BLP)主査であり、リーダーシップ研究所副所長です。

パーソル総合研究所は、パーソルグループの総合研究機関であり2017年に中原淳氏と「希望の残業学」プロジェクトを立ち上げました。

 

印象に残った内容は?

残業について包括的に学ぶことができる書籍です。

残業の歴史について始まり、調査結果に基づき残業の実態、働き方改革に効果がない理由、最後に残業への改革について紹介しています。

 

残業が続く理由である時間の無限性

労働基準法において法定労働時間は1日8時間、週に40時間と定められていますが、第36条により、協定を結びさえすれば、法定時間外労働と休日労働は認められます。しかも、繁忙期などには「特別条項付の36協定届」を届ければ、残業時間の基準を超えて働かせられるため、実質、青天井で残業ができる仕組みとなっています。

日本では、労働時間の制限がありましたが、規制を骨抜きにできる条項がセットになっていたため、労働時間に実質制限がありませんでした。ヨーロッパでは、このような規制の骨抜きはないとのことです。

しかし、日本でも2018年に成立した「働き方改革法」により労働時間の上限が決まりました。

 

残業代還元例

トヨタ自動車株式会社……残業時間にかかわらず、月45時間分の残業代を支払う

残業問題ですが、単純に時間を減らせば良いというものではありません。

筆者らが調査した結果、基本給では生活に足りないという人が60.8%、また残業代を前提とした家計の組み立てを40.5%の人がしているという結果になりました。

このことから、単純に残業時間を減らしてしまうと、そのことで生活できないということになってしまいます。

そこで本書では、見える化をして、残業代還元するのが良いのではないかと提案しています。

トヨタ自動車の例は素晴らしいと私は思いました。元々残業代45時間分が入っていれば、わざわざ残業する必要はないからです。

 

感想

残業について広く実態に迫ることができる書籍です。多くのデータから、現状の働き方と問題点がわかるかと思います。

調査結果を見ると、私が勤務していな前の会社とほとんど同じ状態なので、どこも同じ状況なんだなという印象です。

 

残業が多い人間にとっては、「あるよね〜」という内容が詰まっています。

調査結果で、残業時間が多いことで、余裕がなく、フィードバックが得られない、学習ができないなどの意見がありましたが、私の会社も同じような議題が上がっていました。

 

改革案の一つとして、残業代還元の例は面白いと思いました。

トヨタ自動車では、すでにやっているとのことで手が早いと感じました。

 

本書籍では、最後に組織の改善例が挙げられていますが、その改善内容は少し弱いように感じました。というのも、マネジメント層の改善がメインなので、現場の人間としては改善仕様がないためです。

もちろん、会社を運営しているのは上層部なので、残業が上層部のせいだとなればそれはそうなのですが、何か現場でできるアイデアがあれば面白いなと思いました。

ちなみに、私がいた職場では、現場がムダを改善するという会議が定期的に持たれ、横の繋がりを強めて職務を改善し残業を減らす案がありました。多少は変化がありましたが、業務量が多いと結局仕事時間が増えるという結果になりました。

やはり、マネジメント層が動かないと、残業時間の改善は進まないという例だったように感じます。