感染症の世界史 人類と病気の果てしない戦いを読んだ感想

みなさんこんばんは。

 

今回は感染症の世界史 人類と病気の果てしない戦いを読んだ感想です。

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(上記プレビューで示した本は、私が読んだ書籍の後に出版されたものとなります。)

 

高校生、大学生のときの将来の目標は、国連の感染症研究チームに入ることでした。その昔目標としていた感染症への知識を学ぶために読むこととしました。

 

以下、書籍より引用した文章については下記のボックスで囲みます。

著者は?

著者は石弘之氏です。

日本の環境ジャーナリストで、国連ボーマ賞、国連グローバル500賞、毎日出版文化賞などを受賞した経歴を持っています。

 

印象に残った内容は?

感染症の歴史について、最初に概要を述べた後、それぞれペストやインフルエンザなど、それぞれの感染症に対しての人類の歴史を記載しています。終盤は、日本の感染症における歴史についてページを割いています。

 

人が流行に手を貸した

蚊にとっておあつらえ向きの増殖環境も増やしてしまった。舗装の穴、植木鉢の受け皿、詰まった雨どい、よどんだドブなど身辺で水たまりは多い。ヒトスジシマカは、大さじ一杯ほどの水でも卵を産むことができる。昔の人は墓参りのときに、花入れに10円玉を入れて帰った。こうすると水の中に銅のイオンが溶け出して、ボウフラが生きられないからだ。こうした先人の知恵も継承されなくなった。

前の会社では、マラリアの研究に重視していたので、蚊は興味のある対象の一つです。

ただ、私が産まれてから、墓参りの際に10円玉を花入れに入れて帰るということは、一回も見たことがありません。銅イオンで蚊が生き残れないのも知りませんでした。

 

医薬品の名前

日露戦争(1904~1905年)で戦死した5万5655人のうち、約半数の2万7192人は戦病死だった。このうち約5700人はビタミンB不足の脚気によるものだった。チフスなどの消化器感染症も多く、その予防のために陸軍が開発したのが「クレオソート丸」。露(ロシア)を征する丸(薬)の意味で、「征露丸」と名づけられた。その後、「正露丸」と名前を変え現在でも親しまれている。

日露戦争というと、乃木将軍の命令で敵の要塞(旅順)に突撃して多くの戦死者が出たのは有名な話です。ただ、実際には病気による戦病死者がこれほど多いのは知りませんでした。

正露丸は有名ですが、ロシアを征するという意味も初めて知りました。

 

起源は中国雲南省

アイルランドのユニバーシティ・カレッジ・コークのマーク・アクトマン教授らの国際チームが、各地のペスト菌の遺伝子の変異から進化の系統樹をつくり、中国の雲南省で約2600年前に出現したとする説を2010年に発表した。系統樹によると、三回の大流行はいずれも中国が起源だという。

以前ペストの本を読みましたが、ペスト3回目の流行は雲南省でしたが、他の2回の起源は諸説あるといった書き方だったと思います。

ペストの歴史を読んだ感想

やはり人口の多さと感染症は、密接な関係があるということですね。

 

T細胞白血病ウイルス

T細胞白血病ウイルスの場合は、感染しても発症する確率は20~25人に1人。潜伏期間が数十年かかることも珍しくなく、発症年齢の平均は61歳だ。50歳以上生きる人が少なかった時代には、患者はかぎられていた。社会的な問題になったのは寿命が伸びた戦後のことである。

このように寿命が伸びることで、生じる病気も多々あります。昔はアルツハイマーも、今より全く問題ではなかったと思います。

長寿になることは良いことですが、新しく増える病気や、それによって生じる年金などの社会福祉的な問題も解決していく必要があります。

 

私としては長寿になることで、脳の働きが100年以上保たれるかが疑問です(病気にならずとも機能し続けるのか)。

 

アイヌ民族と琉球人の共通点

江戸時代の学者、新井白石以来、アイヌ民族と琉球人の共通点が指摘されてきた。総合研究大学院大学のチームが改めて、約500人のアイヌ民族と琉球人のDNAを比較したところ、アイヌ民族と遺伝的にもっとも近いのは琉球出身者で、北海道と沖縄には縄文系の子孫が多く残っていることがわかった。本土出身者はむしろ韓国人に近かった。

これは縄文人が弥生人に列島で分断されて、北と南に押しやられたという遺伝子解析と同じ結論だそうです。ただし、アイヌ民族はシベリアの北方民族と一部遺伝子で共通点があり、日本人の起源の特定は難しいそうです。

ただ日本人が韓国人に近いというのは納得です。日本列島に行くためには、一番の最短距離は現韓国なので、それはそうだろうと納得です。

 

感想

感染症の歴史ということで、コレラやピロリ菌などの感染症の歴史と、現状について知ることができる面白い書籍でした。

ピロリ菌がいるとガンになるといった悪いイメージですが、ピロリ菌は過剰な胃酸を中和して胃液の逆流を抑える効果もあるのだといいます。

 

そのような、菌=悪いとった視点以外の、複合的な視点で感染症を知ることができたのは面白かったですね。

もちろん、菌だけではなく、印象に残った内容で記載したアイヌ民族と琉球人の共通点など、副次的に歴史も知ることができました。

 

感染症について興味がある、製薬志望の学生が読んでも、楽しく読めて将来のためにもなる本だと思いました。