学ぶ意欲の心理学を読んだ感想

みなさんこんばんは。

 

今回は学ぶ意欲の心理学を読んだ感想です。

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動機付けに昔から興味があり、どうやったらやる気を向上できるか興味があったので読みました。

 

以下、書籍より引用した文章については下記のボックスで囲みます。
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著者は?

市川伸一氏です。

心理学者であり、東京大学大学院教育学研究科の教授です。

 

印象に残った内容は?

本著の内容は、動機付け心理学の歴史から、和田秀樹氏や苅谷剛彦氏との討論へと続きます。

アメとムチの動機づけ理論

行動主義の心理学では、動物を対象にした学習の実験がたくさん行われて、いったいどんな条件にすればスムーズに学習が起こるか、また一度やった学習が忘れにくいか、という研究を積み重ねてきたわけです。そこで強調されてきたのは、「何度も反復することが必要だ」ということと、「賞罰を伴わせないと学習はなかなか成立しない」という原理だったんですね。

元々動物実験から、学習の実験が行われてきました。

その歴史について紹介してあるのが面白かったです。

 

感覚遮断の実験

被験者の大学生にはかなり高額のアルバイト料を払って、これに参加してもらったといいます。最初のうちは「ああ、これはいいアルバイトだ」ということで、喜んでごろごろとしている。ところが、二日くらい経つと、もう退屈で耐えられなくなってきます。それでも何とかがんばる被験者もいます。自分で自分に刺激を与えようとして歌を歌ってみたり、独り言を言ってみたりして耐えようとする。もう刺激がほしくてたまらなくなるわけです。まだがんばっていると、そのうち頭が正常に働かなくなってくる。たとえば簡単な計算ができなくなってきたり、幽霊の話などを全部鵜呑みにして信じたりとか、一種の洗脳されたような状態になってしまう。~中略~

つまり、人間は生まれながらにして、複雑な刺激を好むという特性をもっているらしいと考えられるようになったわけです。

今では絶対に行うことができない実験ですが、面白い情報が得られました。

人間は誰しもが複雑な刺激を好むとのことです。つまり、自宅でじっとしているのは本来好まないことなのです。

私の祖父は、祖母が亡くなった後、自宅に籠るようになりました。すると、後年アルツハイマーを発症しました。それと、似たようなことなのでしょうかね。

 

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報酬がなくても学習する

動物は生理的な欲求が満たされている時に、何もしないでじっとしているかというと、けっしてそんなことはありません。むしろ、いろいろと探索行動をして、その時にしっかり学習している。それは、実に適応的な意味があるのです。~中略~

それは一見何の役にも立っていないように見えます。ホテルの中をぐるぐる歩き回っても、別に何か食べ物がもらえるわけではないですね。ところが、いざ、火事になったと言う時に、ホテルに行くなりごろんと横になっていた人は、炎に巻き込まれて死んでしまうかもしれません。中をうろうろと動き回って、非常口の場所やホテルの構造を知っていた人は無事に脱出できるでしょう。高等な生物ほど、環境についての情報を収集したり、自分の能力を高めておいたりするのは、貯蓄とか保険のようなものではないかと私は思うことがあるんです。余裕がある時に、いろいろな学習をしておくということが、その時にはムダに見えても後から役に立つ可能性がある。それが知的好奇心や向上心のもとになっているのではないかという気がします。

一見無駄に見えていることでも、場合によっては学習が役に立つこともあります。

人間以外でも、動物はそのように探索行動をするようですね。

 

教育における動機づけをどう考えるか

和田氏:もう一つは、市川さんがこの中で書いたみたいに、精神分析の理論というのは、どっちかというと病人相手の理論だ、教育心理学は正常者相手の理論だというわけだけれど、勉強ができない子どもだとか、勉強の意欲が非常にない子どもたちというのは、ひょっとしたら病気の人間に近い動機づけ理論のほうが当てはまるかもしれない。つまり、人によってタイプが違うわけだから、全員各々面接させてもらえれば、「こいつには内発的動機を振ったほうがいい」「こいつには外発的動機を振ったほうがいい」という個別指導というのが僕はある程度は可能なんじゃないかと思うんですよ、付き合っているうちということでしょうけど。

個人的には、内発的動機付けだけで良いと思っていましたが、本文中に内発的動機が持てない人もいるといいます。

そのため、自分も子供を学習させるときは、各々に向いた動機付けを考える必要があります。これは学習をする上で重要なことだと思います。家庭教師などは、自ずとやっているのでしょうかね。

 

文化的環境の影響

市川氏:親が科学雑誌を読んだり、テレビの科学番組を見たりして楽しんでいるという雰囲気であれば、子どもだってそうなっていくと思うんですよ。だから強制力という時でも、一番まずいのと思うのは、親がほとんど勉強してなくて、子どもにだけ強制的にやらせようとすること。

ちょうど天才!成功する人々の法則でも読みましたが、親が子供に与える影響は凄まじいものがあります。

私も子供を育てる時がきたら、子供に学習の雰囲気を与えられるようになりたいですね。

 

感想

途中、和田秀樹氏との対談で批判する部分がありますが、書籍中で他人を批判する本を読むことが少ないので、新鮮に感じました。

以前、田原総一郎さんが、若手経営者と討論した本「稼ぎ方」の教科書を読みましたが、あれと同じ対談は見ていて面白いですね。

「稼ぎ方」の教科書を読んだ感想

 

この本は、20年近く前の本ですが、学習についての心理的な要因を解説されています。

自分自身学べない人や、誰かに学ばせる必要がある人は、考える際の一助になると思うので、読む価値はあるかと思います。

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