シュレディンガーの猫 実験でたどる物理学の歴史を読んだ感想

みなさんこんばんは。

 

今回はシュレディンガーの猫 実験でたどる物理学の歴史を読んだ感想です。

子供たちに将来的に化学を教える際に、基本的な知識を抑えるために読むこととしました。

 

以下、書籍より引用した文章については下記のボックスで囲みます。
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著者は?

著者はアダム・ハート=デイヴィス氏です。

科学書の編集や、テレビ番組のプロデューサーを経て、著述家や写真家、歴史家、テレビ番組の司会者として活動している人物です。

訳者は、山崎正浩氏です。

翻訳家で、主に歴史関係の翻訳をされています。

 

印象に残った内容は?

科学史が平易にまとめられています。時代順となっているので、科学史の概要は掴みやすいと思います。

ビジュアルも多く、概要の理解はしやすいと感じました。

 

『光学の書』

アルハゼンはレンズ、鏡、反射、屈折についても実験を行い、理論と実験の経緯を『光学の書』にまとめました。『光学の書』は実験科学の最初期の書物であり、何世紀も後にレオナルド・ダ・ヴィンチ、ガリレオ、デカルト、アイザック・ニュートンから賞賛されています。アルハゼンの全著作は200作以上におよび、そのうち50点ほどが現存しています。

体系的な実験を行った最初期の科学者が、アラブ人のアブー・アリー・アル=ハサン・イブン・アル=ハサン・イブン・アル=ハイサムです。ラテン風だとアルハゼンだそうです。

私の苦手な分野に物理の光があるのですが、それについて初期の実験を行った人物です。全く知らなかったので、アルハゼンという名前は覚えておきたいです。また中世初期のイスラム社会の方がやはり技術が上だったと感じます。

 

ニュートンの生誕

アイザック・ニュートンは病弱な子どもでした。1642年のクリスマス・イヴを過ぎて25日になってから生まれましたが、夜を越せず朝までに亡くなるだろうと思われるほどの未熟児でした。3歳のときに父親が亡くなると、母親は裕福な牧師と再婚するためにニュートンを残して家を出ていきました。残されたニュートンは母方の祖父母に引き取られましたが、決して面倒見のよい祖父母ではありませんでした。ニュートンは孤独のうちに内省的な少年に成長しましたが、虹の色から月や地球の軌道にいたる幅広い問題に対する、類まれな探究心を身につけたのです。この探究心が、ニュートンを史上空前の大科学者にしたのでしょう。

ニュートンについて知らなかった幼少期について書かれています。

普通に成長した子供は、普通の人生しか送ることができないと思います。やはり幼少期など普通と違う体験が、世界を変えることに繋がるように感じます。

 

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なぜ話をつくらなければならなかったのか?

1682年までのニュートンの手紙は、ニュートンが渦動説を信じていたことを示しています。水たまりの中央や、水を満たした容器の底に穴が開いていると、この穴に吸い込まれる水が渦巻きをつくります。渦動説とは、惑星は太陽を中心として、この渦巻きに流される木片のように動いているというもので、もともとはデカルトが提唱した説です。しかし1682年のハレー彗星が、渦動説をくつがえしてしまいます。ハレー彗星は逆行軌道を描くー他の星々とは逆の向きに動くーからです。

一方、フックは1674年に重力について触れており、軌道計算の問題の解決に近づいています。ニュートンとしては、いかなる問題であっても、フックに負けたと認めるわけにはいきませんでした。ニュートンがはるか後にリンゴのエピソードを創作した理由は、フックよりもかなり前の1666年の時点で問題を解決していたと示せれば、フックに先んじていたと言い張れるからに過ぎないのかもしれません。

ニュートンのリンゴの話は有名ですが、それが創作というのは悲しい話です。

しかも、後世でバレているので、嘘をついてまで自己顕示欲を示すのは良いことではありませんね。

 

寡黙な天才

キャヴェンディッシュはいつも、しわくちゃな紫色のスーツと黒い三角帽子を身につけていました。とても内気で、人と会うのを極力避けていました。話すときにはキーキーと高く、それでいてためらいがちな声が出ることを気にしていたためか、キャヴェンディッシュはほとんどしゃべりませんでした。研究仲間は、障害にしゃべる言葉の数を比べると、トラピスト会(ローマ・カトリックの観想修道会)の修道士よりもキャヴェンディッシュの方が少ないだろうと述べています。彼は王立協会の会合に、とても静かに参加していました。

自閉症スペクトラムの可能性がある、天才のキャヴェンディッシュです。

彼は地球の質量を実験から導きました。私のイメージでは、天才は彼のような存在です。

 

盗作のファラデー

エルステッドの実験の報せはロンドンの王立協会にも届き、ハンフリー・デービーとウィリアム・ハイド・ウォラストンは電動機の制作に着手しますが、失敗に終わりました。このときデービーの助手を務めていたのがマイケル・ファラデーです。ファラデーはウォラストンが電動機について話しているのを耳にしました。ファラデーはその場を立ち去り、自分なりに考えてみることにしたのです。~中略~

これはファラデーにとって初めての大発見でした。ファラデーは実験の結果に興奮し、デービーにもウォラストンにも相談せず、承諾も受けずに論文を発表しました。ウォラストンは激怒し、自分の研究をファラデーが盗んだと主張して論争になります。

ファラデーの成果は、元々アイディアを盗んだものとは衝撃でした。

これを見ると、Facebookを作ったザッカーバークを想起します。彼も、元のアイディアは他の人間のものですが、Facebook自体は彼自身の力で作ったものです。

凡人の私から見ると完全に盗作に見えてしまいますが、天才とはそういうものなのですかね。他人のアイディアを相談もせずにすぐに行動に移せない私は、凡人だと思いました。

 

ドップラー効果の利用

現代社会で最も役に立っている「ドップラー効果」と言えば、気象観測で用いられるドップラー・レーダーでしょう。レーダー反射波の周波数の変化から、観測対象となっている雲(の中の水滴)や降雨の移動方向や移動速度がわかります。同時にその場での風向きや、風速も判明するため、積乱雲や台風・低気圧の中の乱流の発達具合がわかり、豪雨や竜巻の予測、災害抑止に貢献しています。

ドップラー効果がスピードを測定するのに使用されているのは知っていましたが、雨雲に使われているのは知りませんでした。

どんなものにドップラー効果が使われているか調べるのも面白そうです。

 

 

感想

前回読んだ、歴史を変えた100の大発見 物理-探究と創造の歴史と似ている構成です。

歴史を変えた100の大発見 物理-探究と創造の歴史を読んだ感想

歴史順の流れで、科学史が記載されています。

 

こちらは、物理学と比べて若干内容が多くなっていますが、本格的に学ぶとしたら他の書籍も必要です。

あくまで、歴史的な経緯が書かれている本です。

 

ビジュアルも多く、概要の理解には良い書籍だと思いました。

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シュレディンガーの猫 実験でたどる物理学の歴史
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