みなさんこんばんは。
今回は診断名サイコパス 身近にひそむ異常者人格者たちを読んだ感想です。
2000年出版(1995年に出版し、2000年に文庫版が出版)
よく聞く「サイコパス」ですが、実態を知るためにも読むこととしました。
以下、書籍より引用した文章については下記のボックスで囲みます。
著者は?
著者はロバート・D・ヘア氏(1934年生まれ)です。
カナダ生まれの犯罪心理学者で、FBIなどでも活躍経験があります。ブリティッシュコロンビア大学の名誉教授です。
翻訳は小林宏明氏(1946年生まれ)です。
翻訳家であり、多数の書籍を翻訳されています。
印象に残った内容は?
サイコパスについて、多数の事例を紹介しながら、どのような性質を持った人間かを紹介しています。
サイコパスの存在意義
そして種を保存するために人間がとるひとつの手段は、子供を少数もうけてだいじに育て、彼らが生きのこるチャンスを確保してやることだ。また、全員でなくとも何人かが生きのびられればいいように、子供をいっぱいもうけるという保存手段もある。たとえ養育を怠けたり、彼らを遺棄したりしても、おそらく何人かは生きのこる。サイコパスは、おそらく後者の、極端な種の保存手段を信奉しているのだろう。
現在はわかりませんが、書籍が書かれた当時はサイコパスは遺伝として伝わっていくと考えられていた様です。そう考えると、サイコパスにはメリットがあるはずです。
例えば、存在意義がある病気として、鎌状赤血球症があります。
この病気は、重度の場合(染色体としてはホモ)は溶血性貧血により多くの人間が成人前に死亡します。
一方軽症の場合(染色体はヘテロ)は、死亡する病気ではありません。
なぜ、この病気があるかというと、マラリアに耐えるためです。鎌状赤血球では、マラリア原虫が感染しても、処理されます。
アフリカ地域はマラリアが蔓延しているため、アフリカ周辺では鎌状赤血球症の人が多いのです。
このことを考えると、サイコパスにも何らかの存在意義があるはずです。
本書籍では、サイコパスは極端な種の保存主義として書かれています。確かに、サイコパスの子供はネグレクトされても、相手に感情を持たない性質を持っているので、相手を殺害などして生き残るのに有利に働くのかもしれません。
2歳までのアタッチメントの重要性
マギッドはこのドキュメンタリー・フィルムのなかで、両親ないしプライマリー・ケアを与える人に対して幼い頃に”愛着(アタッチメント)”や”絆”をもてないと子供たちがどうなるか、そのじつに鮮やかな見本としてテスを紹介している。彼の著作『ハイ・リスク』は一九八七年に出版されたが、心理的にまだ未熟な子供が親になった場合、赤ん坊の誕生から二歳までの発達段階にその子との絆をつくれないと、精神病質を含めて心理的および行動的問題の発達の要因になるという見かたを展開している。
以前読んだ子ども家庭支援の心理学で、2歳までの教育が重要という内容を読みました。
まさか、サイコパスと繋がっているとは思いませんでした。
通常の人間も2歳までに愛着がないと心理的に良くない面があると思いますが、サイコパスの方がよりひどくなるということでしょうかね。
その度合いについても気になりました。
感想
サイコパスという恐ろしい精神病質者について書かれた書籍です。
サイコパスが怖いところは、普通の人間と同じに見えることです。
精神病の人はどこかおかしいというのはわかることが多いと思いますが、サイコパスはわかりません。
以下にこの書籍を読んで感じたサイコパスの特徴をまとめます。
- 感情がない(どこでどう感じて良いかわからない)
- 嘘をつくことへの抵抗がない
- 良心がない
- 殺人などを犯しても、良心の呵責がない
- 相手を操ることが上手い
- 自己中心的
- 相手の苦痛を考えられない
- 我慢ができない
また、恐ろしいのがサイコパスは子供の時からその性質が生じる点です。
この書籍に書いてある例では、4歳の姉が生後3週間の双子の一人に謝って引っ掻かれ2人を床に投げつけとも殺害した例や、5歳の子供が3歳の幼児を5階の階段から投げ落とした例などが紹介してありました。
子供の時からサイコパスの性質が生じれば、更生施設でも治らないような気がします。
すると、もう刑務所からサイコパスを出さないということが唯一の解決策に感じてしまいます。
これは、非常に難しい問題だなと感じました。
なお、筆者はサイコパス診断法を開発した人物なので、実際のサイコパスとのやりとりの例などが紹介されており、非常に興味深い書籍でした。
サイコパスに騙されないためにも、読んでおいて損はない書籍でした。